6月に入り衣替えと同時に陽射しの強さも夏を思わせるようになった。ここ阿蘇高森周辺では、早くも田んぼに黄金の秋を迎えるべく今や遅しと、たくさんの苗が植えられている。さて、6月5・6日、県市青年部企画研修委員会の主催による「園児キャンプ研修会」が66名の参加者を得て休暇村南阿蘇ファミリーオートキャンプ場にて実施された。ここは数年前実施した際、豪雨のため1日と持たず中止・終了を余儀なくされた因縁のいや忘れることの出来ない思い出の地。リベンジの今回2日間とも晴天が続き汗ばむほどの陽気であった。その充実した研修の様子をレポートする。
快晴。緑に囲まれたセントラルホールには、午後の和やかな木洩れ日と爽やかなそよ風が吹いている。徐々に参加者が集う。スタッフはファイヤーの準備やギターの音合わせ等でテンションを高めあっている。ベテラン桑原先生、ルーキー津留先生の司会で研修が始まった。蟻田県青年部企画委員長、澤県青年部部長の挨拶後、参加者は真剣な面もちでオリエンテーションを受ける。
講師は県青年部副部長、合志中部保育園の福嶋義信先生。持参された『キャンプのしおり』をもとに、具体的に何を目的にどんなやり方で実際園児たちはこうだったヨと、合志中部保育園で昨年実施された阿蘇YMCAキャンプ場での記録ビデオを最新式プロジェクターと大型スクリーンを駆使しての説明があった。様々なネイチャーゲームや記念品作り、食事の様子、キャンプファイヤーなどビジュアル効果と講師のソフトな語り口に参加者も真剣に聞き入っていた。
2部構成。昨年に引き続き、熊本YMCA学院の石岡ひろみ氏(ひよこリーダー)を講師に招き、キャンプ全体をアレンジする歌とお話から始まった。ギターの伴奏は待ってましたとばかりに森田前県部長、福田副部長ヨロシク軽やかなリズムで定番「キャンプだホイ」「おおきなうた」と続き徐々に参加者の緊張が解れ連帯感に包まれた。野外キャンプでは“自然”をキーワードに、『早く急いで』と言い過ぎることなく、子どもとじっくり触れ合う時間を創り出すように心がけるといった心構えの話から、雨の中でのキャンプの楽しみ方と称して緑のビニール袋でカッパを作ったり、ペットボトルで虫かご入れを作ったりと即実践できるアドバイスがいくつもあった。
キャンプ場広場へ場所を替え、実際ボンファイヤーを使っての研修を受ける。本格的に4段組みの薪組みから空き缶を使ってのファイヤーロードを作る演出のやり方など盛り沢山で、予定時間をかなりオーバーする程熱が入り、その実演・説明に参加者は真剣に聞き入っていた。
2部は夕食準備からキャンプファイヤー。夕食メニューはカレーである。各班ごとにその具材をゲーム方式で森の中で探し当てる。飯盒炊飯で初めて炊く参加者も多かったが、それぞれ楽しくいい出来上がり具合だったと思う。スタッフ用として男性スタッフが悪戦苦闘して作られた「バナナ入りカレー風スープ」は、まろやかで(?)舌触りがなく(?)思い出に残る(?)一品に仕上げて頂いた。
明るかった陽が山の稜線に傾く頃、参加者がおごそかに入場してキャンプファイヤーがスタートした。火の神に扮する男神福嶋先生が火を掲げて入場点火。大きく燃え上がる火を囲みながら森田・福田両先生のギターのリズムに合わせて童心にかえり、歌や踊りで楽しい時間が過ぎていく。最後はスタッフによって置かれたファイヤーロードが幻想的な雰囲気を醸し出し、参加者スタッフがそれぞれ握手を交わしながら退場して1日目の研修を終えた。
研修後は、セントラルホールにて参加者・フタッフ全員による懇親会が行われた。今年もスタッフの絶大なる信頼を受け、八代ひまわり保育園副園長清水先生による夜食が用意された。今回はシェフご自慢の
- 揚げたてリングスナック塩味
- クリームチーズのクラコット乗せハチミツ掛け
- チキンと野菜のラップサンドタルタルソース
- 東南アジア風鶏の串焼き(チキンケバブ)
- トムヤムクンスープ
- フライドポテトガーリック風味&ペッパー風味
- 赤ワインとフルーツのカクテル(サングリア)
の7品の力作に参加者は大満足。舌鼓を打ちながら今日の反省や保育の話からプライベートの話など大いに盛 り上がり、1日目の夜は更けていった。
「自然の中でのネイチャーゲーム。皆さん自信が楽しむことができれば、こどもたちにもその楽しみを伝えることができると思います。」濱田先生から室内でレクチャーを受けた後、実際に体験してみようということで自然の中に入って色々なゲームを体験した。最初は戸惑いながらの参加者たちの顔が見る見る童のそれに返り、一日目で培った人間関係と、濱田先生の巧みな話術によって本当に楽しい時間が過ぎていった。その中で、ゲームを行うためのルール・制約が、それがあることによって、普段見過ごしていたような自然の存在・呼吸感というものを感じさせてくれていることに気づいていっているようだった。
人間知恵の輪 |
コウモリと蛾 |
居眠りおじさん |
ネイチャービンゴ |
知恵の輪脱出中の上野先生 | 「バット!モス・バット!モス」 | 抜き足差し足…ゲッツ! | 「今何か聞こえた?」「聞こえない」 |
熊本市青年部 工藤部長による、 「大自然の中で様々学ばれたことを、今の気持ちを各保育園に持って帰られて、ゆっくりこどもたちに伝えてください。
今回の研修で大きくなった“各人のポケット”を大いに活用していただけらば、と思います。」の総括。
「(今回の研修)ご苦労様でした。また遠方より多くの先生方にご参加を頂き本当にありがとうございました。各園に戻られましたら、まず各園長先生、保育士の先生に感謝のことばを述べていただくとともに、今回の研修で学ばれたことをしっかりと伝えて頂きたいと思います。 それぞれが各園で実践していただく事で今回の研修の成果として現れるのではないかと思います。 次回の研修も、今回の経験、また皆様からのご意見ご要望を参考にし、さらにバージョンアップしたかたちで取り組んで行ければ、と考えております。」という閉会宣言で、キャンプ研修も無事終了。
今回のキャンプ研修は県・市両部長並びに県・市両研修委員長をはじめとする、スタッフ全員の思いが通じたのか見事な晴天に恵まれ、非常に身のある研修となった。一日目で人のつながりの心地よさ・大事さを感じ、二日目には生きている自然を、意識・無意識さまざまな感覚で、感じることができた。
また参加者の構成も、地域・年齢とも非常に多様且つバランスの取れたものであった。このことだけでも、普段自分の保育園という小さな社会で生活している者にとって非常にありがたく、夜の懇親会でもいろいろな意見交換が行われ、人とのつながりという得がたきお土産をいただいたと感じる。
このレポートを作成するに当たりまして、一日目の記事及び写真を本藤先生、二日目の記事につきましては吉原先生とわたくし緒方で作成させて頂きました。その折に青年部各位のご協力を頂きましたこと、厚く感謝いたします。 最後になりましたが、県市両部長をはじめ研修委員会を中心としたスタッフ、また青年部活動を支えていただいている賛助会員の皆様方に、このような意義深い機会を与えていただいたことを感謝いたします。
参加者の皆様から研修の感想についてアンケートを頂きましたので、ここに一部ご紹介させていただきます。
- 自分が子どもになったような気分で楽しく参加できた。
- 自分を見つめなおすとても良い機会でした。また参加したいと思います。
- 大自然のなかで、新たな発見の連続でした。感動を子どもたちと分かち合い、小さな事でも共感していく心というものを学んだ。日常生活の中でも、もっと自然に関わり子どもの気持ちを受け止め、体全体で感じていきたい。
- 日頃なかなか目にしない様な所にも不思議なものが沢山あり、発見の連続だった。
- とても内容の濃い研修で、またすぐに使えるものばかりでとても勉強になりました。
- 歌を歌ったり体を動かしたり、どれも子どもたちが好きそうなものばかりで良かった。早く、園に帰ってみんなに伝えたいです。
- 自然の中で、何もなくてもこんなにたくさん楽しいことができるということを学んだ。
- 雨具作り、虫かご作りなど子どもと一緒に楽しめそうなものがたくさんあった。
文責:菊池乳児保育園 緒方 洋