今年も残すところあと僅かとなり、今年最後のNLをお送りしたいと思う。今回のNLは「広報委員総勢5名によるレポートを集結!」という、これまでにない組織的な動きをしたのだが、何分慣れていないために「集結」に時間がかかった(^^;)。そのため、11月、12月合併号の様な体裁を取っているが、「あ〜こんなこともあったな〜」と年末らしい気持ちで読んで頂けるとありがたい。
一日目
茂串保育園園長の福岡得史先生が「環境を通して地域に貢献する」を題材に提案者として発表された。その中で、子ども保護者が共に意識改革を行い、保育園の環境問題に対する取り組みを通し(ゲームや手作り紙芝居、ビデオの活用など)地域に貢献することの重要性を強調された。
また、助言者である熊本県家庭福祉課長 岩田宣行先生からは「転機に立ち向かう保育園」に対し、保育所運営費の一般財源化などの危機的な状況をプラスに受け止め、次世代支援などを進めていくことが大切との意見も出された。
「便利とはどういう意味か」「選ばれる為にどこまですべきか」「子どもの為というけれど自分の為になっていないか」といったテ−マを与えられ討議を行う。助言者としてのぞみ愛児園の豊永先生より、「保育園側の保護者、職員、地域への説明責任と、共通理念の元に職員が一丸となって努力する義務がこれからは必要になってくる。」また、熊本県立大学の石橋先生からは、「これからは福祉サ−ビスもビジネスとしてとらえ、利用者にきちんと説明し納得した上で行うことが必要であるが、保育者がやれる子育て支援は限界があるので、地域や行政と連携してサポ−トする必要がある。これからは保育者も自己を磨き、専門的、理論的な勉強をしていくことが必要」とまとめられた。
座長より、緊張をほぐす音楽を流すという演出があり、和やかなムードで始まった。
「主任保育士の専門性と役割」「親の育ちと保育者のサポート」の2つを柱に、18のグループに分かれて討論し、若い保育士をどう指導するか、親への対応や園長と保育士のパイプ役としてどうあるべきか等、いろんな悩みも含め時間ぎりぎりまで意見交換を行った。
最後に助言者の、星の子保育園主任保育士辻本恵津子先生が「私立園の主任の立場は、保育士のリーダー、モデルになり、園長のことも理解しつつ自分の保育観を持ち、園長に意見を言えるような努力をすることが大切である」また、中九州短大の講師福島ひさ子先生は「主任保育士として大切なことは無理に頑張らなくても良い、心に余裕を持って、相手の気持ちを受け入れ、優しい眼差しで周りを見る、また愛情を持って大らかな心で受け止め、笑顔を忘れないで接することが大切である」とまとめられた。
第4分科会は、今大会で一番参加人数の多く、熱気ムンムン大入り満員の分科会となった。
提案者である鹿児島県大心寺二葉保育園の保育士福永愛里先生からは=いっしょってたのしいね=と題し、「子どもたちが地域で群れて遊ぶ姿が見られなくなり、保育園での異年齢交流が重要となってきている。その中で広げられる遊びを、保育士が意図的に誘ったり、繰り返すことにより、自分らしさを表現できる子どもに育てたい」と発表された。
グループ討議では、「子どもたちの良いとこ見つけよう」について話し合い、「一人の担当保育士だけでなく、職員全体で連携を持ち、その子の良い点に気付く」「いいとこを見つけたら保護者に伝え、一緒に喜び、そのことによりまた、子どもの成長を促す」という意見が出された。
最後に助言者の、沖縄県キリスト教短大の非常勤講師比嘉栄美先生が「子どもの遊び行動の見方は、それぞれ人によって違う。子どもの遊びは保育士が一人一人に応じたアイディア、アレンジを取り入れ、遊び込み積み重ねていかなければならない。」とまとめられた。
食に関する関心の高さが感じられた。飽食の時代、農薬使用の野菜、添加物の多い食事の中、玄米和食を中心に、砂糖、卵、牛乳を使用せず、給食を作る実践例。この取組みに驚きと感心の連続。食生活は毎日の積み重ねの連続。その手本は保育士、食事はみんなでおいしく食べることが基本。保育士がおいしくたべることが食教育に連結する。
二日目
議長団を代表して、議長、吉本征一郎氏が挨拶。続いて分科会報告を塚本実行委員会副委員長より報告。大会決議文(案)については熊本県保育協会青年部副部長、福嶋義信より朗読。参加者より承諾を戴き、大会決議文となった。続いて第24回大会の開催地である、沖縄県私立保育園連盟の玉城義徳会長よりご挨拶とご案内をいただいた。来年11月11・12日の両日の予定。議長の吉本理事長より参加者へのお礼のことばにより結ぶ。
倉橋惣三という幼児教育学者は「教育は人情の発露」と語っています。保育の中に、もし人間としての情愛がなければ、それはもはや保育の目標を失っていると言っていいでしょう。そこを忘れて、子どもに関わり、親への保育サービスを提供し、学歴と社会的地位獲得の期待をさせる保育サービスに変わっているならば、21世紀の未来社会は、私たちの命を含めて、大変おぞましいものになるのではないかと恐れます。
今、保育園が「命の砦」となっていることを心深く刻む必要があります。愛している、大事なんだというメッセージを子どもにしっかりと伝えられているでしょうか。いま、保育園ですべきことは、人間としての情緒の育み、遊びの世界を子どもに作ること。生きていても、病んでいても、障害があっても、存在することこそが大事なんだよと、命の価値に変わりはないんだということを保育の中で伝えていかなければいけません。私どもは子どもの育ち、子どもに関わる一呼吸の今が未来社につながっていくと忘れてはならない。皆さんが、日々の保育の歩みの中で、自分も含めて未来を創るという誇りを持って欲しい。これからの保育園生活の中に、志高く、自分の理念と情愛の世界を広げて欲しい。
月日 |
平成15年11月27日 | ||||||||||||||||||||
場所 |
くまもと県民交流館パレア | ||||||||||||||||||||
講師 |
人吉影絵劇サークル「まつぼっくり」代表梶原伸氏 | ||||||||||||||||||||
経歴 |
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「今回このような企画を行いましたが、多くの保育士に集まって頂けたことを嬉しく思うと共にほっとしております。今日は影絵の楽しさを理解して頂き園の方で活用していただきたいと思います。今日一日皆さんと楽しい研修を行っていきたいと思います。」
手と簡単な道具だけを使用し、狐・猫・はと・かに・かたつむりなど、どんどんと姿を変える様子は、簡潔であるからこそ、とても創造性を掻き立てられるものでした。 |
照明を落とし実際に光をあてみてみると様々な色のコントラストが重なり想像していた以上のファンタジックな世界が広がった。途中、「人形には背景の色を当てないようにした方がより綺麗に見え、影絵は本来白と黒のコントラストを生かすようにした方が良い」というような具体的なアドバイスを頂いた。
最後に熊本市青年部工藤部長より「今日の研修はどうだったでしょうか。楽しかったでしょうか。(「楽しかった」との声あり)園に帰って、手を使った影絵など出来るところから早速保育に取り入れて欲しいと思います。ここまでは、私たちが準備し研修をおこないましたが、実際に行うのは保育士である皆さんです。是非、園に帰って職員・子どもたちに影絵の素晴らしさを伝えて欲しいと思います。」
キャンプ研修に続く今年度2回目の実践研修、名前の如くまさに実践的な研修で園に帰り即使えるような内容でした。今まで抱いていた影絵に対するモノクロのイメージがガラッと変わり、中でも影絵独特の動き、おもしろおかしく色んなアレンジができることが分かり、「これは是非やりたい」と心底思える“おいしい”研修となりました。
(富永)
本年は武道館大会に象徴されるように、保育業界にとってまさに激動の年であった。そしてとうとう、公立保育園の一般財源化がどうも現実となりそうだ。どうも外堀から徐々に埋められている。先日成立した平成16年度予算案を見ると国にお金が無いのはよく分かるが、潮谷知事も仰っているように「未来からの預かりものである子どもたち」の今を考えれば、合理性を求めて手を抜くわけにはいかない!。2004年が保育にとって、日本経済にとって明るく前進する変革の年となることを念じてならない。
最後に、今回は深谷先生を初め、県市広報委員諸氏の力に依るところが大きい。ここに深く感謝します。そしてどうぞ良いお年をお迎え下さい。
(県広委永田)