鹿児島といって思い出す人物といえば、西郷隆盛と大久保利通だろう。この二人は幕末という混乱期に、地方から中央を下し、明治という新たな時代を切り開いた。そしてまさしく、現在の保育界も改革の波を迎えている。このタイミングに全国大会が鹿児島で行われるのは、何かの因縁を感じざるをえない。
去る11月の4、5日、鹿児島市にて第24回全国私立保育園連盟青年会議鹿児島大会が行われた。慰安旅行と間違っていた諸氏もいたが、熊本県より28名という過去最多の参加人数をみても参加メンバーの意気込みが伺えるというものである。
まさしく大会テーマ「チェスト行け!!〜今子どもたちの翼となるために〜」の通りである。決して羽を伸ばしてきただけではない!!
以下、熱い鹿児島大会のレポートお届けする。
第1分科会 | |
「社会連帯による次世代育成支援に向けて」 | |
講師:淑徳大学教授 柏女霊峰氏 | |
第一分科会は、次世代育成支援について保育ひいては社会福祉政策という観点から考えるというものであった。分科会の流れとしては、講師である柏女先生の講義が90分程あり、その後グループ討議・発表それに対する柏女先生の講評、最後に質疑応答という流れ。 (緒方) |
第2分科会 | |
「保護者と保育所をつなぐ家族援助論」 〜子育ての支えとなるために〜 |
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講師:大阪市立大学教授 山縣文治氏 | |
保育所とは、地域そして住民に信頼されいい仕事ができれば生き残れるだろうか。そうではないと思います。生き残る為には絶対総合施設だと強く思います。 (三宅) |
第3分科会 | |
「保育の根っこにこだわる園内研修」 〜人的環境の資質向上を求めて | |
講師:白梅学園短期大学客員教授 村田保太郎氏 | |
一般財源化等で量的な拡大であって、保育の質的なものは無視されている。保育とは本来子どもの育ちを最大に尊重すべきであり、保育士は情熱をもって子どもを愛さなければならない。しかし、若い保育士ほど自分に都合の良い保育をしてしまう。本来職員研修とは何のために行うのか。園の基軸があって皆がそれに共通理解を示し、「気づき」というものを持つ為である。園内研修を行い、保育に対する情熱、子どもに対する情熱、自分で作ろうという情熱を持つことが重要である。研修方法には園長主導型、職員主体型等様々あるが、大切なのは職員が共通の認識を持ち、職員間が一体となり、かつ柔軟な組織が確立されていることである。 (吉原) |
第4分科会 | |
「人事制度を見直す」〜経営者として足下を見直してみませんか〜 | |
パネラー:福岡県私立保育園連盟青年部長 白山勝也氏 〃 総合福祉研究会本部事務局長 松本和也氏 〃 総合福祉研究会福岡県支部長・税理士 権藤説子氏 |
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この分科会では福岡県市立保育園連盟青年部と総合福祉研究会との共著で創られた「これでわかる!新しい人事制度のすすめ」(←欲しい人はクリック)を利用して話を進められた。以下その要約。 これまでどの保育所でも人事院勧告の俸給表による利用してきた。しかし、今後保育単価の積算根拠は非常に危うくなり、人事院勧告も意味をなさなくなる時代がくる。そこで、人事考課制度を導入しなければ、民間保育所は破綻してしまう。詳しくはテキストの中に具体的な数字を含めた説明があるが、その方法論としては、
現在、人事考課は人件費コスト削減の目的が多いが、本来職業能力の向上の為であって、そのプロセスとしてコストが削減される事が理想である。その為には経営者がしっかりと保育ビジョンを持ち、職員とよく話し合ってお互い納得のいく人事考課を創り上げ、実行しなければならない。 (永田) |
第5分科会 | |
「ひろがれ あそび心」〜響きあう大人と子ども〜 | |
講師:あそび・劇・表現活動センター「アフタフ・バーバン」 千葉千江子氏 | |
子どもたちの心を本当に理解するためにはどう向き合えばよいのか。それは大人であるとか、子どもであるとかの定義に関わらず、人として相手に伝えたい思いがしっかりあり、その相手のことをきちんと受け入れることからすべてが始まります。「伝えたいことを、伝えたい人に、伝わっていますか?」この問いかけから千葉千恵子先生の分科会が始まりました。 (鹿児島県青年部速報より) |
RIKKIの妖艶なるステージを観ながら、芋焼酎に酔いしれる懇親会であった。後半は鹿児島県青木青年部長自ら抽選を行う、「大抽選会」が開催され、熊本県は数にものを言わせて様々な商品をGet。しかし、一等の「森伊蔵」は前会長の帥(ゆはず)先生がまさに「おいしいとこ取り」で持っていった。滋賀県からは次年度開催のアピールで「マツケンサンバ」ならぬ「シガケンサンバ」を熱唱。素人まるだしのステップに厚労省の役員さんもハートを打ち抜かれた。
【記念講演】 | |
「私の取材ノートから」 | |
講師:NHKエグゼクティブ・アナウンサー 松平定知氏 「その時歴史が動いた」キャスター |
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NHKの顔ともいえる松平氏の講演。前半は自らの育児体験を元にしたお話。後半は「その時歴史が動いた」さながらの歴史絵巻が展開された。
番組のファンである先生からは「ナマ『歴史が動いた』だったね(*^_^*)」との声もあったが、ここには割愛させて頂き、前半のみの要約を載せる。
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情勢報告 | |
講師:厚生労働省雇用均等児童家庭局 保育課保育指導専門官 角田雄三氏 |
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情勢報告の中には、最近新聞等で聞く以上の話は出なかった。以下福田先生のレビューを引用する。
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次年度開催地である滋賀県より「世界で一つだけの花」を生ギター演奏でアピール。オーディオにうるさい福田先生によると「ミスチューニングなところが瞠目」と感動をわき起こした。
大会後、鹿児島市の2保育園を視察した。
両保育園とも、入ってすぐに目にするのが大型液晶テレビに映し出される子どものスナップ写真。保育士がデジカメで取り貯めた写真をCDに焼き、週ごとにスライドショーで流しているとのこと。欲しい写真がある保護者はCDを借り出し、自分で現像に出すシステムで、非常にスマートに感じた。テレビ前は保護者の交流の場としても活用されているとのこと。
又、両保育園に共通していえることは、近年定員増を行い、園舎を増築している事。室内にはいると、苦心して増築した後が見られた。鹿児島市全体が待機児童解消の為、増員を行ったのだろう。特徴的なのは職員の数の多さもさながら、3分の1の保育士がフリーで勤務に当たっていた事。10時までという保育時間に対処するためだが、熊本では余り聞かれない気がした。御所保育園では分園として乳児保育所を有しており、園長が常勤する必要がないため、オートロックに監視カメラと防犯対策は完璧。危うく閉め出される熊本メンバーもいたほど。全体的に施設も職員も明るく感じたのは、鹿児島の南国気風なのかもしれない。
(文責:永田)